どんぐり倶楽部の糸山先生の雑記帳

絶対学力を育てる[どんぐり倶楽部]の糸山先生が書いている日々の雑感

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2014年05月12日
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笑えない笑い話:恐怖の早口言葉教室
「笑えない笑い話」
 ここに笑えない笑い話があります。
「赤ちゃんが話し始めたとたんに、速いことがいいことだとばかりに、
母親がその子を早口言葉教室に毎日連れて行って高速会話が出来るようにした。
周りからはスゴイスゴイ速い速いと言われ、親子揃って有頂天になった。
そのうちに、その子はゆっくり話すことが出来なくなり、言いたいことも
聞きたいことも分からなくなって一言も話さなくなった。
その時、もうお母さんはいなかった。
彼は一人で頭の中だけで高速会話をして独りぼっちで一生を終えた」
 反射とは自動化するということです。
 自動化は放置すると固定化します。
 固定化すると何も受け付けなくなります。
 これを反射式プリントで考えると

「単純計算の高速化(強制反復)
→考えるなという指令の繰り返し(自動化による反射形成)
→頭の硬直化
→硬直化した頭の固定化
→考えることを受け付けない拒絶化(人為的学習障害:ALD)
→性格形成や人格形成に影響」となります。

私はこれら一連の症状は当事者である子供を無視した教育政策と教育業界大手の営利主義が生み出した人為的学習障害
(Artificial Learning Disabilities:ALD)だと思っています。

●恐ろしいことに架空の早口言葉教室は現実の高速計算教室と同じ現象を引き起こしています。


笑い話のような本当の話です。昨日も、下記のような電話がありました。

「〜すると、神経が発達する」と言われて、勝手に「学力養成になる」と思っていました。

神経が発達しても、思考回路が出来なければ、思考はできない。

デタラメに石を積んでも、石造りの家が出来上がることはない。
ましてや、頑丈な石組みの家を作るには、
精密な設計図と、その設計図に沿った作業ができる
十分な時間と努力が必要である。


◆絶対に進んではいけない小学校の未来
 私は二十数年前に大手塾の大失敗を目の当たりにしました。
 それは、進学率をあげようとして、
それまで小四からだった入塾を小三からにし、ついには小一からにしたことです。
 塾生は増えま
したが進学率は上がりませんでした。そして、低学年戦略は学力養成とは関係のない、単なる塾生
の囲い込み戦略となって今に至っています。
 次の書評は教育雑誌「いきいきニコラ」の馬場氏の書評です。重要な資料としての価値を持つ
書評だと思います。

<引用>全文はhttp://www.os.rim.or.jp/~nicolas/9sainokabe.html
■「9歳の壁」と子どもの学習 ~T.Itoyama著『絶対学力』から思うこと~2003/11/24
□「9歳の壁」というのがあるそうだ。
そして、この壁を乗り越えられないと高学年になって学力
不振になるのだという。
この本の著者・T.Itoyama氏は百マス計算の陰山氏の方法を批判して「三角
計算」という小学生向けの計算の本も出した。
彼の主張は百マス計算ブームに危惧を抱いていた私
の関心を惹きつけた。その大要は納得のいくものであった。実際にこの本を計算の苦手な子にやら
せてみたが、百マス計算では得られなかった効果を確認することも出来た。
ところで、Itoyama氏の言う「9歳の壁」というのはどういうものか。
人は12歳までに抽象思考が
できるようになる自然なプログラムを持っているが、そのプログラムに逆らって幼少期に先行学習
やパターン学習をさせると、考える力が育たず具象思考から抽象思考に変化する「9歳の壁」を乗
り越えられなくなる。具体的には、暗記力と計算力で満点をとっていた子が高学年になると学力不
振に陥る。それは考えない習慣をつけさせ、マニュアル人間を作り出すからだというのだ。これは
今流行りの知的早期教育への警鐘でもあろう。
これについては、私の若い頃の経験による傍証がある。

ある進学塾で仕事をしていた時、その塾
は日の出の勢いで躍進をしていたが、もっと生徒を増やそうという方針で、それまで小学4年生か
ら通塾させていたものを、親の要望も受けて小学3年生から引き受けることにした。それで教育熱
心な(?)家庭の子弟が通い始めた。中学受験は早いほうがいいというわけだ。確かに熱心な子が
多く勉強の成果もあがった。ところが、数年経ち高学年になった頃から奇妙なことが明らかになってきた。受験学年になるころにその子たちの成績の伸び悩みが見られるようになってきたのである。
そして、5年生や6年生なってから通塾し始めた子どもたちに追い抜かれることさえ起きてきた。通塾を勧める関係上、父母には秘密であったが、塾内では半ば公然の認識であった。その後の受験
の結果はもはや推して知るべしであった。

なぜ、こういうことが起きたのか。通塾の弊害が明らかであった。
一般には「塾慣れ」とか「塾疲れ」
とか言われたが、私はもっと別のところに原因があると思っていた。それは学校に通い、塾や習い
事に通うことに忙殺され、ひたすら理解し覚えることに1日の時間の大半が使われ、ほとんど自分
で考える実行する習慣を持つことなく来てしまったことの結果ではないかと考えていた。いくら優
れた水泳の指導書を読んでも実際に自分の体で会得しなければ水泳が出来るようにはならない。こ
のことを、Itoyama氏は『絶対学力』(本物の学力)の中でより体系的に明らかにしてくれている。
Itoyama氏はまた、スキャモンの「発達曲線」の説を引用しながら、抽象思考をする前の幼少期におけ
る体験的学習の大切さを説いている。子どもの発達にはそれぞれ段階があり、それに即応する形の
教育は効果があるが、徒な先行学習は害にしかならないのだ。
Itoyama氏は、「教育とは、決して知識の切り売りではありません。もちろん問題の処理方法を教え
ることでもありません。教育は学力を育むことです」と言い、またこうも言っている。「教育とは
人生を楽しむことができる力を育てることです。一人一人が自分独自の判断基準を創り出すことが
できる力を育てることです。そして、学力とはこれらの様々なものの見方・考え方を理解できる力
のことです。」

必ずしもItoyama説の全てに賛同できるというわけではないが、学校教育で「学力の低下」が叫ばれ、
「基礎基本の反復学習」が喧伝されている昨今、本書はそのような教育界の動向に現場から一石を
投ずることになるのは確かであろう。もし、子どもの教育を真剣に考えるなら、一度は目を通して
おきたい一冊である。

<引用終わり>

私は馬場氏とは面識がありません。ですが、大手塾の講師をしていた二十数年前に彼と同じ体験
をしています。ということは、この現象は全国的なものだったのだと思われます。
そして今、一部の小学校が、「読み・書き・計算」を徹底反復して基礎学力を付けようとの名目
で、高速計算練習を軸とした、かつて大手塾が犯した大失敗と同じ道を突き進んでいるようです。どうにか思いとどまって欲しいものです。
私は、二十年も前に、小学校低学年で高速計算を徹底反復させられ、漢字や諺を大量に覚えさせ
られた子供たちの悲惨な結末を見てきたのです。漢字はイメージと連動させることで救いようがあ
りますが、高速計算だけは、どう頑張っても救いようがありません。どこまでいっても、やってい
るのは「10の補数と九九」の反復だけだからです。私の経験では、小学校低学年での高速計算練習ほど頭を固くするものは他にはありません。応用
のきかない発想の乏しい頭を作ってしまいます。最悪です。ですから、これだけは絶対にやらせて
はいけないのです。
 今、現役の小学校の先生が、かつて塾が試み、大失敗した低学年戦略を知らないのは仕方がない
でしょう。ですが、子供の反応をよく見れば分かるはずです。見せかけの見栄えのする力がいかに
有害なものかに早く気づいてもらいたいものです。

<加筆:2004.7/21>
●ガラスの自信と危険な達成感を持たせた上に、表現力の養成という名目で幼稚な技を覚えさせ
能力制限を才能開発と思っている人がいる。子供達の才能を見ようとしない似非教育者ですね。

●辞書引きも同じです。辞書は引き方さえ一度分かればオワリにします。無駄な時間を使いすぎます。そんな余裕はありません。思考モデル(思考回路)作成をすべき時期に知識の蓄積(最低の思考回路であるコピー回路の強化)と付箋を付けるという単純作業だけをして勉強をした気分になっているだけです。最も進むべきではない小学校の未来です。

<2014.05/12追記>
 上記と同じことが今度は、中高一貫校で起こっている。そして、その勘違い教育のツケが、本来なら3年間で仕上げられる学力を6年間かけても仕上げられない状況となって出てきている。おまけに、人間育成も出来ない。
 やっとこのことに気づいた人達が出てきている。難関私立高校に合格しても、そこには入学せずに公立のトップ校に入る傾向が出てきているのだ。
 この傾向は、健全な流れである。
 どんぐり倶楽部が最初から進めてきた唯一のお薦め進学コースである。
 例えば、開成・麻布・筑駒をけって、都立西・都立国立へ行くのだ。
 実に、健全である。
 人間的な成長を考慮すると、雲泥の差が出る。

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2014年05月11日
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インテルDF長友佑都らの専属トレーナー、木場克己氏が語る幼少期のトレーニングの重要性】
http://soccermagazine-zone.com/archives/611

●どんぐり理論ではとっくに言及してますが...
http://tanoshikuobenkyou.blogspot.jp/2012/09/blog-post_12.html
自動記録(視覚イメージは自動的に記録される) 自動再現(記録されている視覚イメージは、様々なトリガーによって、自動的に再現してしまう) 体の制御をする命令系統で使われる材料は、思考の本体である視覚イメージ。つまり、同じものが頭にも体にも使われている。だから、体は頭(再現された視覚イメージ)の後追いを(無意識に)する。 

http://plaza.rakuten.co.jp/donguriclub/diary/201208010001/
§基礎基本の勘違い:体と頭の基本は全く違う...使っている命令系統は同じだが、コントロール精度が全く違う。
→徹底反復:体と頭の制御の違い
→ウサギ飛び学習は厳禁
→「読み・書き・計算」は思考力養成の基本ではない

http://reonreon.com/monte.html
p.26-1_27-7
体も思考も同じ視覚イメージの操作という命令系統を使っているからです。彼女は鋭い観察力から(理由には気付かずに)結論だけを述べていますが、理由があるんです。そして、この理由に気付かないと応用は出来ないんです。
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インテルDF長友佑都らの専属トレーナー、木場克己氏が語る幼少期のトレーニングの重要性
人生で最も運動神経が発達する時期は5歳から8歳
インテルDF長友佑都らの専属トレーナーを務める木場克己氏が世界に通用するアスリート育成において重要な鍵を握る幼少期のトレーニングメソッドについて語った。
インテルDF長友佑都らの専属トレーナー、木場克己氏が語る幼少期のトレーニングの重要性
人生で最も運動神経が発達する時期は5歳から8歳といわれています。その時期は、視覚を通じて、脳を経由し、筋肉が反応するスピードが一番高まる時期なんです。たとえば目の前にある水溜りを飛び越えるために、どこで踏み振って、ジャンプして、どの辺りに着地しなければいけないか、と一連のプロセスを予測するわけです。

<中略>

 着地する際にも体がぶれなければ、それだけバランス感覚は高まっていくということなのだろう。
 木場氏が指摘する最適なトレーニングの開始時期は5歳だという。そして、8歳までの幼少期にいかに身体を動かすかが、その後の運動能力に大きな影響をもたらすとしている。
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*当然の結論です。教育界は、シーラカンスのように遅れていますよ。
→逆に退化しています。

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2014年05月02日
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5歳まで、家庭だけでシュタイナー教育
←学校や教室には行かない方がいいです。というのも、
外では多少の社会的ストレスがある方が適応能力を育てられますし、
ホームが家庭であるという、基本構造を定着させやすいですからね。

そこから、様子を見ながら検証を兼ねて、変化を感じながら、どんぐりにユックリ移行。
という流れが現行教育としては、逞しさに欠けるようですが、ベストに近いかもしれません。

まぁ、最初から天然どんぐりなら、もっと元気はつらつで、
そのまま「幼く賢く逞しく」なので最高なんですけどね。

シュタイナーで育てて来られた方が、どんぐり問題やどんぐり理論を知って気づかれること、言われることは、

すべきでないことはしてきませんでしたが、すべきであったこともしてこなかった

ということです。メールなどでも、殆どの方が同じことを仰いますし、
私も、必然的にそうならざるを得ないと思います。

そうなんです。
早い話が年令相応の、特に非常に大事な5-9歳までの
思考力養成というオリジナルの理論的な考え方の習得がスッポリ抜け落ちているのです。

その上に、シュタイナーでの思考力養成となる学習方法はやはり、パターン学習の領域を出ていないのです。
そこには、丁寧なパターン学習というだけで、根本的な新しい思考力養成の理論や方法があるわけではないのです。
ですから、本国では、シュタイナー教育としてのカリキュラム終了後に予備校的な数年を最初から設置してあるのです。
ところが、そこに行けるのは、偶然、パターン学習にも興味を持つようになった子供達だけなのです。
自分の意思があるからという理由だけで予備校的な勉強コースに行けるわけではないのです。
学校の方で選別するのですからね。

感味力を守る点における5歳までは、OKなのですが、そこまでしかないんです。
そこからが本番なのに、いいところはそこまでしかないんです。
しかも、そのいいところは、実は家庭外ではなく家庭内で行う方がより効果的なのです。

ということは、家庭外でシュタイナーを受け入れる積極的な意味は見当たらないということです。

中途半端な記事で申し訳ありませんが、メモ的にあげておきます。

関連記事

どんぐり理論の説明をする中で、思考力の前に「思考回路」を作るという話をよくします。
特に、原型思考回路です。
現実にはないもの、形を想定して、それを材料に推論を進めて行く方法です。
理論物理学の視覚イメージ版ですね。

天才の思考方法と呼ばれている方法です。
この方法は最もエネルギー効率がよく簡単なので、誰でも余裕を持って思考することが可能となりますから、
感情を味わうことも可能にしてくれます。心豊かな天才が普通になるのです。

どんぐり問題をされている方のブログを見ると、やはり、この手の思考回路がきちんとできているようです。
私の教室でもそうですが、家庭だけでされていても、進化は同じように起こるのです。
ルールを守って環境設定に尽力すれば、子供は最高どの進化を自力で行い巣立って行くというわけです。

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