どんぐり倶楽部の糸山先生の雑記帳

絶対学力を育てる[どんぐり倶楽部]の糸山先生が書いている日々の雑感

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2014年09月15日
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「幼稚園では遅すぎる」の著者でありSONYソニー創業者である井深大が、最終的には、この本で書いたこととは真逆の結論に辿り着いたことを多くの人は知らない。

 井深さんが最終的に辿りついた結論は、

 

 幼児期にしていい教育は「心の教育」だけで、知的教育はしてはいけない。

 

ということなのだ。

新聞で発表するくらいだから、「幼稚園では遅すぎる」で書いたことが世間に広まったことへの謝罪の意味もあったと推察される。汐見稔幸氏(東京大学助教授)も中央教育審議会(1998.01/29)で同様のことを述べられている。

いまだに、幼児教育の世界では、推進する根拠としてよく引用されているが、実は、間違いだったと筆者本人が言っているのであるから、曲がった形で引用するの止めていただきたい。

 

ソニー名誉会長:井深大氏が「心を育てる」と題して談話を載せている。

 下記は最終回の抜粋である。

<引用:●は筆者(糸山)注釈

*1990年(平成2年)4/28(土)・朝日新聞夕刊(11)<ウイークエンド経済>欄

「0歳児から教育を」

 理科教育の振興を通じて、私は教育そのものに目を向けるようになった。バイオリンの早期教育「鈴木メソード」の鈴木鎮一先生とも親交を持った。四、五歳児が大人もやれないようなメンデルスゾーンのコンチェルトを弾きこなすのを目の当たりにし、すべての教育は生まれてから一日も早く始めなければいけない、という考えにすっかり共鳴した。

●この時点で、体のコントロールと頭のコントロールの違いを混同してしまった。<第1ミス>

 体の制御にはある程度のスピードと不正確さの微調整と、ある程度無意識に行える準備(小脳への命令のコピー)を要請されるので反復が基本となるが、頭の制御(思考)は、常に最初から、最速正確なので反復はマイナスになる。

 

 私自身も知的教育を早くから始めることがいかに有効であるかを知ってもらうため、六九年には幼児開発協会という団体を設立した。幼児教室を各地に設け、お母さんにお願いし、ほかではやらない実験的な教育を繰り返してきた。いろいろやっているうちに、本当に必要なのは知的教育より、まず「人間づくり」「心の教育」だと気付いた。

●「すべての教育は生まれてから一日も早く始めなければいけない」は完全に間違いで、学習には優先順位があるのだと気づいた。そして、早期の知的教育は失敗すると分かった。ということ。*自分の実験が失敗したことで早期教育の無意味さを身をもって知ったのだ。

 

学校では落ちこぼれ、暴力、いじめが頻発している。「心を育てる」には、学校教育だけでなく、母親の役割がなによりも大切であり、子供の方も幼稚園どころか0歳児、いや胎児期から育てなけれはならないという考え方に変わってきた。

●心の教育に関しては、幼児教育が大事。つまり、知的教育はさせないのが幼児教育だと知ってもらうことが幼児教育なのである。

 

私はいま、妊娠した時からの母親の心構えが、その子の一生を決定すると確信している。幼児開発協会でいろいろやってみた結果、母親の愛情によってはぐくまれる赤ちゃんの温かい心づくりと、生まれた時からの体づくりが、なによりも重要で、知的教育は言葉が分かるようになってから、ゆっくりでよい、という結論になった。

●幼児期の知的教育は全く役に立たないどころか、心を育てる教育をきちんとしないと一生に関わる。→感味力の保育のこと。

 

「言葉を覚える前に」言葉を覚える前に教育をする、というと不思議に思われるかもしれないが、五感、運動や芸術の能力、信仰心、直感力などは、限りなく0歳に近い段楷から養われる。言葉を話すようになると、幼児でも頭が理詰めになる。直感力などは育ちにくくなるのだ。

●言葉や文字の入力は、感味力保持の邪魔になると気づいている。

→言葉・知識・計算などの大量入力は視考力養成の邪魔になる。

 

言葉を覚える前に人間的なことを植え付けなければ、これからの日本は、心の貧しい人間が大勢を占めてしまう。そんな観点から、0歳児教育をなんとか定著させたいものだと思っている。

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●さすがに、試行錯誤の人。実験の人である。観察眼も鋭く、核心をついている。彼の気づいたことは、どんぐり倶楽部の理論の中には既に、もっとわかりやすく、しかも理論体系の中にキチンと反映される形で、全て配置されている。

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